【ブックレビュー】なぜ子どもに英語なのか〜バイリンガルのススメ〜

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語らう学生

こんにちは。

本書はアメリカでの教育および

インターナショナルスクール(日本)での教育を通じて

3人の子どもをバイリンガルに育てた著者が

バイリンガルのススメを説く内容となっています。

特に子どもが言語を身につける過程についての記述が興味深く

とてもおもしろい内容でした。

目次

本書の紹介

著者

著者の唐須教光氏は言語人類学者でイェール大学で博士号を取得されています。

三人の子どもをバイリンガルに育てた経験を踏まえて

英語と日本語を同じように身につけることはできるのか

どうしたらバイリンガルになれるのか

さらに日本人がバイリンガルになる意味

加えて言語の習得、変化のメカニズムについて説明しています。

ちなみにお子さん達はアメリカの大学を優秀な成績で卒業され

アメリカで活躍されているそうです。

お子さん達が活躍されているのは
教育がうまくいった証拠ですね!

本書の詳細

  • 本の題名:なぜ子どもに英語なのか
  • 著者名 :唐須教光
  • 出版社 :日本放送出版協会
  • 発売日 :2002年12月25日
なぜ子どもに英語なのか 表紙
なぜ子どもに英語なのか 表紙

印象に残った点

言語は行動に影響する

筆者は本書で日本語は物事を明確に表現することに向いてない言語と記載しています。

特に反対意見を述べたり、異議を唱えたりすることが難しい。

例として敬語を使いながら反論することを挙げていますが

確かに日本語は反論者の心情的に矛盾していますね。以下が例です。

さらに興味深い例として名詞の複数形を持つ英語

持たないマヤ語を比較しています。

その結果、英語の話者はある絵を見せられた場合に

ものの数を記憶する一方、マヤ語の話者はものの素材を記憶するとのこと。

つまり言語は人の思考様式に影響を及ぼすのです。

言葉によって思考、行動が変わってきますね!

バイリンガルとは何か

みなさんが一般的に「バイリンガル」と聞いてイメージする人は

どのような能力を持った方でしょうか?

バイリンガルと言っても様々なレベルがあり

海外で英語を使ってビジネスに従事している人から

出稼ぎに来て仕事の必要性から英語を話せるのみ

書くことはできない人もいます。

「バイリンガル」の能力は「話すこと」と結びつけて捉えられており

「読む」「書く」が含まれていないため

英語全体のレベルとしては一様ではありません。

自分の子どもをバイリンガルにしたい!と思う方はどのレベル

を目指されているでしょうか?

バイリンガルになって海外で活躍してほしい!と思います。

早期教育でやるべきこと

小学校からの英語教育は世界的に見て一般的となってきています。

隣国の韓国では日本よりも20年早く小学校に英語教育を取り入れてうまくいっているそうで

世界的には英語力が高い国として評価されているそうです。

韓国語と日本語は近い言語と言われ文法も似ている。

であれば日本人の英語が苦手な理由として

言語構造が全く違うからという説明は不十分ですね。

韓国芸能界の世界進出は国民の英語能力も一役買ってそうです!

なお早期教育で習得しておくと良いことは英語の発音と聞く力です。

現状の日本の小学校における早期教育は授業時間も少なく

教員も英語教育の専門家ではないため大きく期待できません。

徐々に改善されるとは思いますが。。

そこで幼児期からのおうち英語が大切になってきます。

この時期の教育については以下の本が参考になります。

ブックレビューしていますので良ければ一読ください。

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ちなみに我が家の「おうち英語」にはディズニー英語を活用しています。

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第二言語はどのように習得されるか

ノーム・チョムスキー(言語学者)は「言語能力は全ての人間に備わった生まれ持った能力」

という仮説を持っています。

子どもが言葉を習得していく環境において

親や周囲の人間は文法的に「正しく完全な」言葉を話すわけではなく

断片的な言葉、スラング、省略された言葉などが多いです。

ところが子どもは勝手にその言葉の文法を習得していきます。

つまり、貧弱なデータを元に自分の中で文法を生成していくのです。

よく考えてみるとそうですね!子どもは無意識のうちに自分の中で文法を習得しています。おもしろいです。

他にもこんな例があります。

お互いの言語を知らない二人の人間がコミュニケーションを長期に取る場合

発した言葉の意味を通じさせる必要性から

お互いの言語を一部ずつ利用した「ピジン」が出来上がります。

「ピジン」とは異なる言語を話す人々の間で

コミュニケーションを取るために自然に形成された簡略化された接触言語の事をいいます。

語彙は少なく文法はありません。

その子どもがピジンを母語として習得していくと

なんと自然と直接法、仮定法、能動態、受動態など文法機能が備わってくるのです!

子どもが持っている能力で自然言語に近いものが出来上がっていくとのこと。

(クレオール語と呼ばれるほど発展するものもああり)

現在の言語はすべてこのような経過を辿ってきたのではという説を

唱えている学者もいるそうです。

本当に驚きの話でした!

バイリンガルの人々

バイリンガルは2つの言語の思考様式に影響を受けることとなります。

状況に応じて言語をスイッチングしており

思考方式も使い分けていると考えられます。

1つの言語のみの習得だと単純で力強い世界観となりますが

2つの言語を習得していると双方がせめぎ合い迷いも生まれるため

若干弱いものとなることが想定されます。

しかしながら、著者の主張では言語の習得は

「教育を受けたかどうか」と同じ意味を持ち

人生の選択肢は増えるため単純で楽な人生とはならないが

より豊かになるとしています。

本書では著者の3人の子どもの教育例を引き合いに出し

英語の習得およびアメリカでの経験を通じて

世界が広がって行った様子を記述しています。

筆者の「教育を受けることで世界が広がる」という主張には私も共感します。

特に専門分野を学ぶと(私の場合は化学でしたが)

その視点から自分の身の回りの世界を理解できるようになるという

世界が広がる経験を通じて感動したことがあります。

英語を習得すれば間違いなく世界は広がりますね!

まとめ

まだまだ紹介しきれませんが

言語の習得、新しい言語が生まれる経緯や著者のお子様の教育例など

とても面白い本でした。

学術書ほど難解ではなく一般向けに書かれたおすすめの本ですので

ぜひともご一読ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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