こんにちは。
海外赴任で幼少期からアメリカ育ちの日本人と聞くとどんなイメージ持ちますか?
私は「英語ペラペラ、広い視野、物怖じせず主張できる子」といったイメージを持ちます。
アメリカに住んでいるだけで「自然に」英語を話せていいなあと安易に思っていましたが
現実は誰でも英語が得意になるわけではありません。
なかなか成長しない子もいます。
イメージ通りの子は「話す」レベルにもよりますが
実態は親も子も必死で日本語も英語も身につけようと努力した結果ということが
本書を読んでよくわかりました。
「おうち英語」を進めている方にとって本書のタイトルはインパクトありますが
英語を教えてはいけない理由をつらつらと書いているわけではありませんのでご安心ください。
タイトルが気になりつい手にとってしまいました笑
本書ではアメリカで日本人向けの塾を主催していた著者が
海外在住の日本人の子ども達に指導した貴重な経験
さらに日本の英語教育に対しての考察を記しています。
筆者は「英語がペラペラに話せても、文法など集中的に英語の学習をしなければ
日常レベルの英語にとどまる。自分の考えを表現する力や
ビジネスで使えるような英語を身につけるためには
幼児期だけでは不十分で継続的な学習が必要」と記しています。
なお英語の早期教育はネイティブ並の発音や聞き取りを獲得するためには有効
と説明しています。
この本を読んで自分の認識の甘さを痛感するとともに
海外在住の子の必死の努力を知って胸を打たれました。
オススメの本です!
本書の紹介
著者
著者の市川力氏は1990年に大手進学塾の海外進出スタッフとして渡米し
その後、日本人駐在員の子どもが通う学習塾を運営されています。
2003年に帰国後、バイリンガルの子どもを育てる難しさに直面した経験をまとめた本書
『英語を子どもに教えるな』が大きな反響を呼びました。
2004年8月には東京コミュニティスクール初代校長に就任されています。
学校のコンセプトはグローバル時代をたくましく
しなやかに生きるために必要な「探究力」を育むというもので
とても魅力的に感じました。
本書の詳細
- 本の題名:英語を子どもに教えるな
- 作者名 :市川力
- 出版社 :中公新書ラクレ
- 発売日 :2004/2/10
印象に残った点
セミリンガル化する子ども達
「セミリンガル」という言葉ご存知ですか?
第一言語を喪失し第二言語の習得もうまく行かなかった状態を指します。
第一言語である母語が未発達なアメリカ駐在員の子は
そうなってしまう場合があるそうです。
私自身は本書を読むまで
子どもの頃にアメリカで育てば英語もペラペラでいいな
と思っていました。
受験勉強しなくていい!
ところが現実はネイティブ並みの発音で日常会話はできるようになっても
なかなか十分な読み書き能力は身につかないし
母語である日本語の力を育てる事が難しくなってしまう子もいるそうです。
母語のレベルを超えた第二外国は身につかないので
英語が伸びないのです。
だからアメリカにいて日本語も英語もどちらの勉強も必要になってきます。
なお母語喪失のリスクを負ってまで獲得した英会話の力も
日本に帰国して使う機会がなければ
英語力は失われていく事例が多くあるそうです。
私の周りの海外駐在の方の話を聞いたところ
5歳で駐在していた子が現地では英語をペラペラ話していましたが
日本に帰国して中学生になった頃には英語は忘れてしまい
むしろ英語嫌いになったと言ってました。。
海外駐在の子でさえ習得の難しい英語。
子どもの時期で英語学習が完結すると考えるのではなく
これから続ける学習にモチベーションを持ってもらう時期と
考えています。
バイリンガル幻想
「バイリンガル」にもレベルがあります。
「バイリンガル」を育てた時点のレベルが幼児期や小学生であれば
日常会話レベルのバイリンガルということです。
大人になって海外で働いているバイリンガル!というレベルであれば
英語使用者としてのレベルが高いということになります。
早期教育は発音、聞き取りを育てる点で有効ですが
たとえ必死になって子どもの時点でバイリンガルを達成しても
体系的に英語の読み書きについてまだ学習していないので
学習が完結するわけではありません。
日本における英語の授業(読み書き)は日本語で英語を体系的に学ぶ場です。
私は学校の限られたコマ数の授業にコミュニケーション英語
まで期待していません。英語習得には膨大な時間が必要です。
授業が始まる前に子どもの時期の「おうち英語」で英語に対する興味を育てておき
その後体系的に英語を学んでもらいと考えています。
英語の読み書きも大事です!
まとめ
本書を通じて海外在住の子ども達が
英語学習に必死だという現実を通じて
日本での英語学習について明確なイメージを持つことができました。
甘くないな〜と感じました。
英語は簡単に習得できるものではなく
学習を継続してようやく身に付くもので
幼児期や高校生で終わるものではないと確信しました。
本書を読んで本当に良かったと思います。
本書は「おうち英語」を始めたばかりの方やこれから始めよう
という方におすすめの本です。ぜひご一読ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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